Little Miss One-way
思いつくままに恋愛小説をつづります。 大学生同士のちょっと変わった恋愛を書いた 「いびつなハート」連載中です。
いびつなハート 17 断片
「降りちゃった……」
えへっと精一杯お茶目に笑いながら加川くんの顔を見上げると、
「えへじゃねーよ、もー」
呆れた顔で少し怒った声を出す。しばらくふざけて私をにらんだあと
「家、来る?」
といって表情を崩し、いつもの口の端をあげて笑うあの顔をした。私は黙ってうなずくと、加川くんのコートの裾を掴み歩き出した。寒いけど澄んだ空気が気持ちいい。
「今日、何の日だ?」
歩いていると、白い息を吐きながら、唐突に加川くんが言った。
「あ、クリスマスイブか……」
自分に予定がないから、すっかり忘れていた。私は何の予定もないけど加川くんはどうなんだろう。
「ごめん! もしかして、今日予定とかある?」
「……ないよ」
そう言うと加川くんはコートを掴んでいる私の手をとり、ぎゅっとにぎった。心臓が飛び跳ねた。加川くんの手は暖かい。照れて思わずうつむく。
私たちはそのまま何も話さず、途中コンビニで飲み物や食べ物を買って加川くんの部屋に着いた。部屋は当たり前だが約一か月前とほとんど変わらない。この間と同じようにテーブルのわきにちょこんと座る。加川くんがテレビのスイッチを入れると、ワイドショーで、有名テーマパークのクリスマスの賑わいをレポートしていた。
「クリスマスっていっても、オール明けじゃはしゃぐ元気でないよな」
「まあね」
たしかにに二十歳を超えると徹夜もきついな、と思った。徹夜明けハイテンションで思わず家まで来てしまったけど、もしかしてとんでもなく図々しかったかしら、と思い恥ずかしくなる。それになにより自分自身がずっと起きていられそうにない。
そんなことを考えながら、加川くんにコンビニで買ったカフェオレを手渡し、自分もストローを挿す。加川くんは煙草に火をつけた。
「さて、疲れたし寝るか? 俺シャワー浴びるけど、萱野さんは?」
その言葉に思わずカフェオレを吹きそうになる。いや、そのつもりがなかったわけじゃないけど……えっと……と戸惑っているとみるみる自分の顔が熱くなっていくのが分かった。その様子を見て加川くんがあわてたように言った。
「あ、そういう意味じゃなく……。じゃあ、えっと、それ飲んだらとにかく汗流してきなよ。昨日汗かいて気持ち悪いだろうし」
なんだか余計恥ずかしくなってぶんぶんと何度もうなずくとカフェオレを飲むことに集中した。気まずい沈黙だ。ちゅるちゅるとストローを吸う音と煙草の煙だけが部屋を満たしていた。
カフェオレを飲み干すと、気を取り直してお風呂を借りることにした。温かいシャワーにあたるとほっと落ち着いた。ボディーソープやシャンプーの匂いが、かすかに記憶にある加川くんの匂いでドキッとする。髪を泡立てながら、一緒の匂いになるんだなと似合わず乙女チックなことを考えてしまった。
お風呂からあがると、加川くんが貸してくれたタオルを使い、Tシャツを着た。外国のお土産でもらったというTシャツはかなり大きく、私が着るとワンピースみたいになった。下着は生理用に常備しているものに履き替えることにした。
入れ替わりに加川くんがお風呂に行き、私はドライヤーを借りてテーブルのところで髪を乾かす。ぼーっとテレビを見ながら髪を乾かしてると、加川くんが出てきた。VネックのTシャツにストライプのパジャマのズボンをはいている。それにしてもはやい。烏の行水だ。加川くんは私が髪を乾かしてるのを見ると
「髪長いのも大変だな」
と言いながら隣に座った。ふわっとシャンプーの香りがする。
「ちょっと俺にもやらして」
といってドライヤーを取り上げ、後ろに回るともうほとんど乾いている髪をぎこちなく乾かし始めた。風を当てながら手ぐしで髪を梳く。その手つきが優しくて気持ちいい。前日からの疲れもあって、うとうとと眠たくなっていったが、途中、弾みで首筋を指が掠めると、一か月前彼に振れられた感触を思い出してぞくん、と一気に緊張した。どくどくと心臓が高鳴る。
ふいにかちん、と音がしてドライヤーの風音が止まった。後ろから加川くんの腕がまわされる。加川くんは後ろから私をギュッと抱きしめると、うなじに唇を触れた。
「俺んちのシャンプーの匂いがする」
胸の奥からじわっと熱い液体が広がっていくような感覚がして、私は全身の力が抜けていった。
18へ
えへっと精一杯お茶目に笑いながら加川くんの顔を見上げると、
「えへじゃねーよ、もー」
呆れた顔で少し怒った声を出す。しばらくふざけて私をにらんだあと
「家、来る?」
といって表情を崩し、いつもの口の端をあげて笑うあの顔をした。私は黙ってうなずくと、加川くんのコートの裾を掴み歩き出した。寒いけど澄んだ空気が気持ちいい。
「今日、何の日だ?」
歩いていると、白い息を吐きながら、唐突に加川くんが言った。
「あ、クリスマスイブか……」
自分に予定がないから、すっかり忘れていた。私は何の予定もないけど加川くんはどうなんだろう。
「ごめん! もしかして、今日予定とかある?」
「……ないよ」
そう言うと加川くんはコートを掴んでいる私の手をとり、ぎゅっとにぎった。心臓が飛び跳ねた。加川くんの手は暖かい。照れて思わずうつむく。
私たちはそのまま何も話さず、途中コンビニで飲み物や食べ物を買って加川くんの部屋に着いた。部屋は当たり前だが約一か月前とほとんど変わらない。この間と同じようにテーブルのわきにちょこんと座る。加川くんがテレビのスイッチを入れると、ワイドショーで、有名テーマパークのクリスマスの賑わいをレポートしていた。
「クリスマスっていっても、オール明けじゃはしゃぐ元気でないよな」
「まあね」
たしかにに二十歳を超えると徹夜もきついな、と思った。徹夜明けハイテンションで思わず家まで来てしまったけど、もしかしてとんでもなく図々しかったかしら、と思い恥ずかしくなる。それになにより自分自身がずっと起きていられそうにない。
そんなことを考えながら、加川くんにコンビニで買ったカフェオレを手渡し、自分もストローを挿す。加川くんは煙草に火をつけた。
「さて、疲れたし寝るか? 俺シャワー浴びるけど、萱野さんは?」
その言葉に思わずカフェオレを吹きそうになる。いや、そのつもりがなかったわけじゃないけど……えっと……と戸惑っているとみるみる自分の顔が熱くなっていくのが分かった。その様子を見て加川くんがあわてたように言った。
「あ、そういう意味じゃなく……。じゃあ、えっと、それ飲んだらとにかく汗流してきなよ。昨日汗かいて気持ち悪いだろうし」
なんだか余計恥ずかしくなってぶんぶんと何度もうなずくとカフェオレを飲むことに集中した。気まずい沈黙だ。ちゅるちゅるとストローを吸う音と煙草の煙だけが部屋を満たしていた。
カフェオレを飲み干すと、気を取り直してお風呂を借りることにした。温かいシャワーにあたるとほっと落ち着いた。ボディーソープやシャンプーの匂いが、かすかに記憶にある加川くんの匂いでドキッとする。髪を泡立てながら、一緒の匂いになるんだなと似合わず乙女チックなことを考えてしまった。
お風呂からあがると、加川くんが貸してくれたタオルを使い、Tシャツを着た。外国のお土産でもらったというTシャツはかなり大きく、私が着るとワンピースみたいになった。下着は生理用に常備しているものに履き替えることにした。
入れ替わりに加川くんがお風呂に行き、私はドライヤーを借りてテーブルのところで髪を乾かす。ぼーっとテレビを見ながら髪を乾かしてると、加川くんが出てきた。VネックのTシャツにストライプのパジャマのズボンをはいている。それにしてもはやい。烏の行水だ。加川くんは私が髪を乾かしてるのを見ると
「髪長いのも大変だな」
と言いながら隣に座った。ふわっとシャンプーの香りがする。
「ちょっと俺にもやらして」
といってドライヤーを取り上げ、後ろに回るともうほとんど乾いている髪をぎこちなく乾かし始めた。風を当てながら手ぐしで髪を梳く。その手つきが優しくて気持ちいい。前日からの疲れもあって、うとうとと眠たくなっていったが、途中、弾みで首筋を指が掠めると、一か月前彼に振れられた感触を思い出してぞくん、と一気に緊張した。どくどくと心臓が高鳴る。
ふいにかちん、と音がしてドライヤーの風音が止まった。後ろから加川くんの腕がまわされる。加川くんは後ろから私をギュッと抱きしめると、うなじに唇を触れた。
「俺んちのシャンプーの匂いがする」
胸の奥からじわっと熱い液体が広がっていくような感覚がして、私は全身の力が抜けていった。
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Comment
はじめまして、
はじめまして
そらりお+さんコメントありがとうございます!
とっても嬉しいです。
だらだらーっと更新していますがまたお越しください。
そらりお+さんのできたてほやほやのブログも
楽しみにしています!
小説読みに行きますね〜
とっても嬉しいです。
だらだらーっと更新していますがまたお越しください。
そらりお+さんのできたてほやほやのブログも
楽しみにしています!
小説読みに行きますね〜
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いびつなハート

自分的にかなりはまりましたw
ブログは始めたばかりですが、ぜひうちにも来てください、
また来たいと思います、