Little Miss One-way
思いつくままに恋愛小説をつづります。 大学生同士のちょっと変わった恋愛を書いた 「いびつなハート」連載中です。
いびつなハート 10 中庭にて
十二月二十三日は、十八時半に実花と新宿駅南口で待ち合わせをした。さすがに年末の新宿は人がごった返していたが、華やかな実花を見逃すことはなかった。十八時四十分に黒いブーツを忙しなく鳴らして実花が改札から走ってきた。パステルピンクのコートの裾から、ワインレッドのベロアのミニスカートがちらちらひらひらしている。
「ごめんねー。待った?」
「ううん、私も今来たとこ」
などと、カップルのような会話をして、お互いニヤっと笑う。実花も私がすぐ分ったようで一安心だ。なにはともあれライブハウスに向かった。
私と実花はのろのろ歩いて、やっと十九時過ぎにライブハウスの重いドアを開けた。なかは薄暗く、ドラムとベースのおなかに響く音が充満していた。
ステージを見るとオレンジのライトの中で、知らない人たちが演奏していた。入り口でもらったペーパーを見ると、「the middle garden 」の前に「regnare (レナーレ)」とあった。この人たちのようだ。
「あたしー、飲み物もらってくるよー。なにがいーい?」
耳元で実花が叫ぶ。
「じゃーあー、カシスオレンジー」
私も実花の耳元に叫び返すと、実花はうなずいて周りの人をすり抜けながらドリンクカウンターに走って行った。
何気なくまたステージに目を戻すとさっきの人たちが演奏している。全員が紺色のTシャツにボロボロのGパンという出で立ちで、なぜか長髪だ。ボーカルが歌とも叫び声ともつかない声を上げている。
なかなかうるさくていいな、と思い、音に身を任せていると、実花が戻ってきた。持ってきたLサイズの紙コップには緑色で柊の葉がプリントされている。二つのうち一つを私に手渡すとまた耳元で叫ぶ。
「あれー加川くんじゃなーい?」
そう言って実花が指さした先を見ると、確かに加川くんがいた。隣にはこの間見かけた例の黒髪の女の子がいた。見付けた瞬間に、心臓のあたりがズキズキと痛んだ。思わず息をのむ。
「ほ、ほんとだー」
できるだけ動揺を隠して、実花の耳元に叫び返すと、ふいに照明が落ちた。レナーレの番が終わって、木下たちの番らしい。しばらく真っ暗になり、ざわざわと客の話し声だけがしていた。ちびちびと紙コップのカシスオレンジをの飲みながら待つ。
それにしても、加川くんと例の彼女も木下に誘われたのだろうか。この後の打ち上げにも来るのだろうか。彼女の前でなんともないように振舞うことができるだろうか。
加川くんがいた方向を横目で見ると、真っ暗な中に彼女の白いワンピースがぼやっと浮かんでいるような気がして目を閉じた。
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「ごめんねー。待った?」
「ううん、私も今来たとこ」
などと、カップルのような会話をして、お互いニヤっと笑う。実花も私がすぐ分ったようで一安心だ。なにはともあれライブハウスに向かった。
私と実花はのろのろ歩いて、やっと十九時過ぎにライブハウスの重いドアを開けた。なかは薄暗く、ドラムとベースのおなかに響く音が充満していた。
ステージを見るとオレンジのライトの中で、知らない人たちが演奏していた。入り口でもらったペーパーを見ると、「the middle garden 」の前に「regnare (レナーレ)」とあった。この人たちのようだ。
「あたしー、飲み物もらってくるよー。なにがいーい?」
耳元で実花が叫ぶ。
「じゃーあー、カシスオレンジー」
私も実花の耳元に叫び返すと、実花はうなずいて周りの人をすり抜けながらドリンクカウンターに走って行った。
何気なくまたステージに目を戻すとさっきの人たちが演奏している。全員が紺色のTシャツにボロボロのGパンという出で立ちで、なぜか長髪だ。ボーカルが歌とも叫び声ともつかない声を上げている。
なかなかうるさくていいな、と思い、音に身を任せていると、実花が戻ってきた。持ってきたLサイズの紙コップには緑色で柊の葉がプリントされている。二つのうち一つを私に手渡すとまた耳元で叫ぶ。
「あれー加川くんじゃなーい?」
そう言って実花が指さした先を見ると、確かに加川くんがいた。隣にはこの間見かけた例の黒髪の女の子がいた。見付けた瞬間に、心臓のあたりがズキズキと痛んだ。思わず息をのむ。
「ほ、ほんとだー」
できるだけ動揺を隠して、実花の耳元に叫び返すと、ふいに照明が落ちた。レナーレの番が終わって、木下たちの番らしい。しばらく真っ暗になり、ざわざわと客の話し声だけがしていた。ちびちびと紙コップのカシスオレンジをの飲みながら待つ。
それにしても、加川くんと例の彼女も木下に誘われたのだろうか。この後の打ち上げにも来るのだろうか。彼女の前でなんともないように振舞うことができるだろうか。
加川くんがいた方向を横目で見ると、真っ暗な中に彼女の白いワンピースがぼやっと浮かんでいるような気がして目を閉じた。
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