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Little Miss One-way

思いつくままに恋愛小説をつづります。 大学生同士のちょっと変わった恋愛を書いた 「いびつなハート」連載中です。

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2008/10/04

いびつなハート 16 金のリンゴ

 朝七時、私たちはカラオケボックスから出た。騒ぎまくってオールした体はさすがに疲れきっていて、朝日がまぶしい。駅までみんなで向かうと口ぐちにお疲れ様、と声を掛け合い、解散した。
 実花と木下はバイクで帰り、影山くん、玲くん、清水谷くんと後輩たちはJ線の改札で別れた。別れ際、清水谷くんが、あっそうだ、と言って立ち止まる。
「あきちゃん、携帯出してみて」
 携帯電話を差し出すと、清水谷くんも自分の携帯を出して何やら操作をする。すると、私の携帯が清水谷くんのアドレスを受信した。赤外線通信で番号とアドレスを送ってきたのだ。私も自分のアドレスを送り返すと、清水谷くんは何も言わず、にこっと笑って先に行った影山くんたちを追いかけて行った。電話やメールなんてあまりしなそうな感じだけどくれるんだろうか。また「きにいったらしいよ」という言葉を思い出して少し赤面する。
 そんな感じでK線で帰る私と加川くんだけになった。少し歩いてホームに着くとすぐに電車が来た。
 休日の朝の電車は空いていた。二人ともドアの近くに立ったまま外を眺める。疲れていたのもあり、ほとんど無言だったが、ぼそりと加川くんが口を開く。
「木下と矢口さんってさ、付き合ってないの?」
「うん、付き合ってはいないみたいだね。実花が木下のこと好きなのはまあ、見ててわかるけど。木下はよくわかんないな」
「ふうん、でもいつも一緒にいるよな」
 そう言うとまた沈黙する。窓の外を流れる景色が都会からだんだん田舎の風景に変わり、私たちの住む街に近づいてくる。
「えりちゃんてさ……」
 ふと思いついて口を開く。でもなんと続けていいかわからなくなる。
「やっぱなんでもない」
「気になるの?」
 加川くんが意地悪な笑みを浮かべて聞いてくる。
「べつに」
 なんでもない風に精一杯取り繕って睨みかえすと、
「ほんとに?」
 今度は真剣な顔で見つめ返してくる。ちょっと寂しそうな、でも熱っぽい視線だった。言葉が返せず、しばらく見つめあっていたけれど、胸がぎゅっと痛くなって先に目をそらしてしまった。
「次はM沢〜、O線はお乗り換えです」
 目をそらして沈黙したまましばらくすると、加川くんの家の最寄駅のアナウンスが流れた。前に行った彼の部屋を思い出す。もう少し一緒にいたい、もう一度目を合わせたい。
 駅がホームに入り扉が開いた。気づくと、「じゃあ」といって降りようとする加川くんの腕を掴み、一緒に降りている自分がいた。

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