Little Miss One-way
思いつくままに恋愛小説をつづります。 大学生同士のちょっと変わった恋愛を書いた 「いびつなハート」連載中です。
いびつなハート24 クリスマス6
観覧車は一周のうちの半分以上を過ぎて、乗り場からは反対側に当たる海側が見渡せる位置に来ていた。ちょうど清水谷くんの背中の窓から、海側の夜景が見える。すっかり暗くなった海の向こう側が明るく光っている。湾の向こう側の街の明かりが見えるのだ。左側のふ頭からはオレンジの明りをつけたフェリーが出入りしていた。
私は窓の外を指して言った。
「見てみて、窓の外すごい夜景きれいだよ」
清水谷くんも振り返るとおお、と声を上げた。
「海側のほうが遊園地のイルミネーションよりきれいだね。こっちに座ってると見にくいな。そっちに座ってもいい?」
「うん、……でも重さが偏ってゴンドラ引っくり返るかも?」
私がふざけて言うと清水谷くんもくすりと笑って
「試してみようか。勢いよく座ったら一回転するかもね」
そういって立ち上がった。私は清水谷くんが座れるよう横に詰めた。そこに清水谷くんが勢いをつけてお尻からドスン、と座る。ゴンドラは私の予想以上にぐらぐらと揺れ、少しだけ傾いて静止した。思わず清水谷くんのコートにつかまっていたことに気づく。清水谷くんもそれに気づくと
「僥倖、僥倖」
と言ってニコニコした。私は少し照れる。
告白されて、答えを濁したとはいえ、現時点では断ったようなものだというのに、清水谷くんとは気まずい雰囲気もなく、逆に打ち解けたような雰囲気になっていた。心なしか清水谷くんもすっきりとした表情になった気がする。
そうしてゴンドラは出発地点に戻ってきた。先に降りて出口で待っている木下と実花に合流する。二人は一見乗る前と何の変化もないようだった。でも私には何となくわかってしまった。二人の間のほんの数センチの空気に、実花の行き場がないように不自然に下ろされた右手に、観覧車での二人がどうだったかが察せられた。
「さあ、そろそろ帰ろうか」
大きな声で、元気よく実花が言った。空元気を出しているみたいでなんとなく不自然だった。
「そうだ! 今日はあきの家にほんとにとまっていい?」
また明るく実花がいった。
「珍しいじゃん、いつもオールするときにのアリバイ作りなのに」
木下が茶化して言う。その様子もいつも通りなのだけどどことなくぎこちないような気がした。
「いいよ。じゃあ今日は実花はうちにお泊りね」
「じゃあ、まずあきんちに二人送ってくわ」
などと話しながら出口に向かって歩き出す。
クリスマスのPランドはまだまだ閉園する気配もなくたくさんの人で賑わっていた。不意に後ろからドーンという音がして振り返ると花火が上がっていた。私たちもだれともなく足を止めて花火に見入っていた。
クリスマス特製なのか、白とピンクの二重のハートが幾重にも上り、冬の空にパラパラと散っていった。
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私は窓の外を指して言った。
「見てみて、窓の外すごい夜景きれいだよ」
清水谷くんも振り返るとおお、と声を上げた。
「海側のほうが遊園地のイルミネーションよりきれいだね。こっちに座ってると見にくいな。そっちに座ってもいい?」
「うん、……でも重さが偏ってゴンドラ引っくり返るかも?」
私がふざけて言うと清水谷くんもくすりと笑って
「試してみようか。勢いよく座ったら一回転するかもね」
そういって立ち上がった。私は清水谷くんが座れるよう横に詰めた。そこに清水谷くんが勢いをつけてお尻からドスン、と座る。ゴンドラは私の予想以上にぐらぐらと揺れ、少しだけ傾いて静止した。思わず清水谷くんのコートにつかまっていたことに気づく。清水谷くんもそれに気づくと
「僥倖、僥倖」
と言ってニコニコした。私は少し照れる。
告白されて、答えを濁したとはいえ、現時点では断ったようなものだというのに、清水谷くんとは気まずい雰囲気もなく、逆に打ち解けたような雰囲気になっていた。心なしか清水谷くんもすっきりとした表情になった気がする。
そうしてゴンドラは出発地点に戻ってきた。先に降りて出口で待っている木下と実花に合流する。二人は一見乗る前と何の変化もないようだった。でも私には何となくわかってしまった。二人の間のほんの数センチの空気に、実花の行き場がないように不自然に下ろされた右手に、観覧車での二人がどうだったかが察せられた。
「さあ、そろそろ帰ろうか」
大きな声で、元気よく実花が言った。空元気を出しているみたいでなんとなく不自然だった。
「そうだ! 今日はあきの家にほんとにとまっていい?」
また明るく実花がいった。
「珍しいじゃん、いつもオールするときにのアリバイ作りなのに」
木下が茶化して言う。その様子もいつも通りなのだけどどことなくぎこちないような気がした。
「いいよ。じゃあ今日は実花はうちにお泊りね」
「じゃあ、まずあきんちに二人送ってくわ」
などと話しながら出口に向かって歩き出す。
クリスマスのPランドはまだまだ閉園する気配もなくたくさんの人で賑わっていた。不意に後ろからドーンという音がして振り返ると花火が上がっていた。私たちもだれともなく足を止めて花火に見入っていた。
クリスマス特製なのか、白とピンクの二重のハートが幾重にも上り、冬の空にパラパラと散っていった。
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