Little Miss One-way
思いつくままに恋愛小説をつづります。 大学生同士のちょっと変わった恋愛を書いた 「いびつなハート」連載中です。
いびつなハート25 夢のあとさき
花火が終わってから帰り道のファミレスでご飯を食べて、私の家まで送ってもらった。
「じゃあね、ありがと。お疲れ様」
実花と私が口ぐちにそう言って車を降りると、木下はいつものようにおおぅ、と気の抜けた返事で応対し、清水谷くんはニコッと笑ってうなずいた。
部屋に実花を通すとさっと片づけて、炬燵を畳むと、ベッドの横に布団を敷くスペースを確保する。
「おじゃましまーす」
と言って実花が遠慮がちに部屋に入ってくる。
「お布団敷くから、先にシャワーでもどう?そこのドアがお風呂。」
そう言ってタオルと適当な部屋着を渡すと
「ではお言葉に甘えまして。いやあ至れり尽くせりだねえ」
と軽口を叩いてお風呂場に入って行った。間もなくシャワーの音が響く。その間に来客用の布団を敷いて、小さいテーブルを出す。さっき点けたエアコンのおかげで部屋が徐々に温まってきている。それでもこの安アパートでは寒さをしのぐには不十分で、特に床に敷いた布団は冷えるものだ。ストーブを出してきてつける。これでレンジでもつけたらブレーカーが落ちそうだ。
冷蔵庫を物色するとコンビニの福引で当たったスパークリングワインがあった。アルコール八パーセント、うっすらピンク色。当たったことすらすっかり忘れていたけどちょうどよかった。買いおきの袋菓子とプラスチックコップと一緒にテーブルに置いた。
テレビをつけてぼーっとして、ふと携帯を見るとメール着信のお知らせメールが来ていた。
「きょうはおつかれ。たのしかった」
清水谷くんだった。また短いメール。でもなんとなくほっと安心する感じがした。
「おつかれ。たのしかったね。またどこかいこう」
そう簡単に返事を送ってテレビをみていると、私の部屋着を着た実花がお風呂から出てきた。
「お先にいただきました。ん? どうしたのにこにこして?」
知らないうちににやけていたようだ。恥ずかしくなってそそくさと席を立つ。
「な、なんでもない。お風呂行ってくる。よかったらそこのお酒飲んでて」
「へんなの。でもまあ、いただいてます」
シャワーを浴びて出ると実花が布団を膝にかけて、テレビを見ながらちびちびとワインをのんでいた。すでに耳が心持ち赤い。私もベッドに座る。実花がコップにワインを注いでくれた。
「今日さ、木下に好きって言った。付き合ってって」
唐突に実花が言った。視線はテレビに向けたままだ。
「観覧車で?」
「そう」
「そうかなっておもった。で、木下なんだって?」
実花がこちらにまっすぐ視線を移す。
「よくわかんないって」
「え?」
「最近いろいろあってよくわかんないって。おまえのことは嫌いじゃないけど今は付き合えないって」
最近いろいろあってっていうのはレイコちゃんのことなんだろう。ちょっとタイミングが悪かったかもしれない。私は清水谷くんに聞いたことも交えて、レイコちゃんの話をした。地元で仲が良かったこと、木下たちの前から突然いなくなったこと、えりちゃんに似ていて、木下がえりちゃんに会ったとき明らかに動揺してたこと、そんな彼女に今日再開したこと。
「でもさ、大学入ってからいままでずっとそばにいたのにさ、そんなずっと会ってなかった子に負けるのかな」
実花がだんだん泣き調子になってくる。
「でも振られたわけじゃないしまだ負けてないよ、でしょ?」
「とりあえず今まで通りでいたいって言われた」
「今までだって普通の友達よりはかなり仲いいんだから」
一生懸命励ますと実花もだんだん表情が明るくなって来た。
「うん、まだあきらめないよ! ……ところであきはさあ、どうだったの?」
矛先がこっちに向いてしまった。
「ええっと、好きって言われたけど……保留」
「何保留って! ……まあ、まだちゃんと話すようになって数日だもんねえ」
実花は仕方ないか、というようにうなずいた。他の理由には思い当たらないらしい。
そのままワインを飲みながらいろいろな話をした。主には実花がいかに木下を好きかみたいな話だったけど。そして二人とも眠くなってきたので、電気を消してそのまま寝る態勢になってぽつぽつと話していた。
「レイコちゃんってかわいくて歌もうまくてさ、やっぱ木下も音楽やってるからああゆう才能に魅かれるみたいなとこあるのかな……」
半分眠っているような声で実花がつぶやいた。恋する悩める乙女だ。
「そうゆうのもあるかもしれないけど、実花には実花の良さがあるんだから。大丈夫」
私も失いかけの意識の中で答える。
「こんなふうにあきとふたりでゆっくり話したの初めてだね、よかった」
「私も」
そう言って二人でふふふ、と笑うと多分二人とも同時に眠りに落ちて行った。
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「じゃあね、ありがと。お疲れ様」
実花と私が口ぐちにそう言って車を降りると、木下はいつものようにおおぅ、と気の抜けた返事で応対し、清水谷くんはニコッと笑ってうなずいた。
部屋に実花を通すとさっと片づけて、炬燵を畳むと、ベッドの横に布団を敷くスペースを確保する。
「おじゃましまーす」
と言って実花が遠慮がちに部屋に入ってくる。
「お布団敷くから、先にシャワーでもどう?そこのドアがお風呂。」
そう言ってタオルと適当な部屋着を渡すと
「ではお言葉に甘えまして。いやあ至れり尽くせりだねえ」
と軽口を叩いてお風呂場に入って行った。間もなくシャワーの音が響く。その間に来客用の布団を敷いて、小さいテーブルを出す。さっき点けたエアコンのおかげで部屋が徐々に温まってきている。それでもこの安アパートでは寒さをしのぐには不十分で、特に床に敷いた布団は冷えるものだ。ストーブを出してきてつける。これでレンジでもつけたらブレーカーが落ちそうだ。
冷蔵庫を物色するとコンビニの福引で当たったスパークリングワインがあった。アルコール八パーセント、うっすらピンク色。当たったことすらすっかり忘れていたけどちょうどよかった。買いおきの袋菓子とプラスチックコップと一緒にテーブルに置いた。
テレビをつけてぼーっとして、ふと携帯を見るとメール着信のお知らせメールが来ていた。
「きょうはおつかれ。たのしかった」
清水谷くんだった。また短いメール。でもなんとなくほっと安心する感じがした。
「おつかれ。たのしかったね。またどこかいこう」
そう簡単に返事を送ってテレビをみていると、私の部屋着を着た実花がお風呂から出てきた。
「お先にいただきました。ん? どうしたのにこにこして?」
知らないうちににやけていたようだ。恥ずかしくなってそそくさと席を立つ。
「な、なんでもない。お風呂行ってくる。よかったらそこのお酒飲んでて」
「へんなの。でもまあ、いただいてます」
シャワーを浴びて出ると実花が布団を膝にかけて、テレビを見ながらちびちびとワインをのんでいた。すでに耳が心持ち赤い。私もベッドに座る。実花がコップにワインを注いでくれた。
「今日さ、木下に好きって言った。付き合ってって」
唐突に実花が言った。視線はテレビに向けたままだ。
「観覧車で?」
「そう」
「そうかなっておもった。で、木下なんだって?」
実花がこちらにまっすぐ視線を移す。
「よくわかんないって」
「え?」
「最近いろいろあってよくわかんないって。おまえのことは嫌いじゃないけど今は付き合えないって」
最近いろいろあってっていうのはレイコちゃんのことなんだろう。ちょっとタイミングが悪かったかもしれない。私は清水谷くんに聞いたことも交えて、レイコちゃんの話をした。地元で仲が良かったこと、木下たちの前から突然いなくなったこと、えりちゃんに似ていて、木下がえりちゃんに会ったとき明らかに動揺してたこと、そんな彼女に今日再開したこと。
「でもさ、大学入ってからいままでずっとそばにいたのにさ、そんなずっと会ってなかった子に負けるのかな」
実花がだんだん泣き調子になってくる。
「でも振られたわけじゃないしまだ負けてないよ、でしょ?」
「とりあえず今まで通りでいたいって言われた」
「今までだって普通の友達よりはかなり仲いいんだから」
一生懸命励ますと実花もだんだん表情が明るくなって来た。
「うん、まだあきらめないよ! ……ところであきはさあ、どうだったの?」
矛先がこっちに向いてしまった。
「ええっと、好きって言われたけど……保留」
「何保留って! ……まあ、まだちゃんと話すようになって数日だもんねえ」
実花は仕方ないか、というようにうなずいた。他の理由には思い当たらないらしい。
そのままワインを飲みながらいろいろな話をした。主には実花がいかに木下を好きかみたいな話だったけど。そして二人とも眠くなってきたので、電気を消してそのまま寝る態勢になってぽつぽつと話していた。
「レイコちゃんってかわいくて歌もうまくてさ、やっぱ木下も音楽やってるからああゆう才能に魅かれるみたいなとこあるのかな……」
半分眠っているような声で実花がつぶやいた。恋する悩める乙女だ。
「そうゆうのもあるかもしれないけど、実花には実花の良さがあるんだから。大丈夫」
私も失いかけの意識の中で答える。
「こんなふうにあきとふたりでゆっくり話したの初めてだね、よかった」
「私も」
そう言って二人でふふふ、と笑うと多分二人とも同時に眠りに落ちて行った。
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