Little Miss One-way
思いつくままに恋愛小説をつづります。 大学生同士のちょっと変わった恋愛を書いた 「いびつなハート」連載中です。
いびつなハート 4 急展開
彼の肌に触れたいという衝動がほぼ無意識的に私を突き動かしていた。気付けば抱きつくような体勢で広い背中に手をまわして、加川くんの胸に顔を埋めていた。タバコのにおいと、背中の暖かい感触に、胸の奥がまたぎゅうっと痛くなった。
(もう、私、ダメだぁ……)
自分の大胆さに恥ずかしくなり、顔を加川くんの胸に埋めたまま動けなくなる。そんな私を加川くんは抱き起こすと耳元で囁いた。
「萱野さん、俺……」
首筋を優しく辿る唇が何かつぶやいたような気がしたけどわからなかった。加川くんの細い指がブラウスのボタンを一つずつ外し、その後を追うように唇が開いた胸元を辿っていく。さっきまで私の頬を包んでいた大きな右手が、私の小ぶりな胸に触れた。
このまま流されたいという強い気持ちと裏腹に、恥ずかしさと、よくわからない後ろめたさが沸いてきて、彼の手を抵抗するように抑え、咎めるような調子で彼に声をかけてしまった。
「あの……加川くん?」
と、次の瞬間
「ごめん!」
加川くんは手を離し飛び退くと、瞬間的に土下座のポーズになった。そのすばやい動きに私はあっけにとられ、そして吹き出した。笑いが止まらなくなった私に彼が言い訳のように呟く。
「だってちょっと、調子に乗ったかなって。……そんなに笑うなよ」
「だって……」
調子に乗ってもべつによかったのに、という言葉を飲み込んで加川くんの高潮した顔をみつめた。
その後は、加川くんがノートを写し終わるまでボーっとテレビを見て、残念ながらといおうか、何事もなくおいとました。でもこの日から、私の彼に対する感情にははっきりと変わった。
私は彼について、ほとんどなにも知らない。趣味とか特技とか、出身地とか、女性遍歴とか。知らないだけではなく、自分でも不思議なほど興味が無い。無口な彼とは、大学の飲み会でも、ほとんどしゃべったことがない。それでも彼に惹かれているということは、彼の外見のイメージや雰囲気に、自分の都合のいいイメージを重ねて恋に恋しているということだろうか。
私も20歳ともなれば、そんなに多くは無いけれど、何回かは恋愛を経験している。しかし加川くんに対する今のような感情を抱いたのは初めてだ。これも恋なのだろうか。そもそも、人を好きになるって、どんなことか良く分からなくなってきた。
まあいいや、とにかく、彼は、「触れたい人」になった。
5へ
(もう、私、ダメだぁ……)
自分の大胆さに恥ずかしくなり、顔を加川くんの胸に埋めたまま動けなくなる。そんな私を加川くんは抱き起こすと耳元で囁いた。
「萱野さん、俺……」
首筋を優しく辿る唇が何かつぶやいたような気がしたけどわからなかった。加川くんの細い指がブラウスのボタンを一つずつ外し、その後を追うように唇が開いた胸元を辿っていく。さっきまで私の頬を包んでいた大きな右手が、私の小ぶりな胸に触れた。
このまま流されたいという強い気持ちと裏腹に、恥ずかしさと、よくわからない後ろめたさが沸いてきて、彼の手を抵抗するように抑え、咎めるような調子で彼に声をかけてしまった。
「あの……加川くん?」
と、次の瞬間
「ごめん!」
加川くんは手を離し飛び退くと、瞬間的に土下座のポーズになった。そのすばやい動きに私はあっけにとられ、そして吹き出した。笑いが止まらなくなった私に彼が言い訳のように呟く。
「だってちょっと、調子に乗ったかなって。……そんなに笑うなよ」
「だって……」
調子に乗ってもべつによかったのに、という言葉を飲み込んで加川くんの高潮した顔をみつめた。
その後は、加川くんがノートを写し終わるまでボーっとテレビを見て、残念ながらといおうか、何事もなくおいとました。でもこの日から、私の彼に対する感情にははっきりと変わった。
私は彼について、ほとんどなにも知らない。趣味とか特技とか、出身地とか、女性遍歴とか。知らないだけではなく、自分でも不思議なほど興味が無い。無口な彼とは、大学の飲み会でも、ほとんどしゃべったことがない。それでも彼に惹かれているということは、彼の外見のイメージや雰囲気に、自分の都合のいいイメージを重ねて恋に恋しているということだろうか。
私も20歳ともなれば、そんなに多くは無いけれど、何回かは恋愛を経験している。しかし加川くんに対する今のような感情を抱いたのは初めてだ。これも恋なのだろうか。そもそも、人を好きになるって、どんなことか良く分からなくなってきた。
まあいいや、とにかく、彼は、「触れたい人」になった。
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